A:国内で新型コロナウイルスに感染している小児は徐々に増えつつありますが、現時点(2020年4月15日)においては、小児は依然として他のウイルスによるものの感染の可能性か高いと考えられます。地域による差かありますので、お住いの地域の保健所なとの情報にご注意ください。
実際には、新型コロナウイルス感染症を疑って一般の医療機関や休日夜間救急センター等を受診しても、診断を確定するための検査はできません。 むしろ受診によって新型コロナウイルスの感染の機会を増やす危険性かあることを念頭におく必要があります。
残念ながら新型コロナウイルス感染の軽症者に対する特異的な治療法はありません。ゆっくりと静養することが唯一の治療法なのです。現状では、呼吸数が多い・肩で息をする・呼吸が苦しい・唇や顔の色が悪いなど肺炎を疑う症状があり、入院加療が必要と考えられる場合を除いては、新型コロナウイルス感染症を心配して医療機関を受診することはお勧めできません。
なお、厚生労働省からの新型コロナウイルス感染症を疑う基準では、「37.5°C以上 4 日」とありますが、この基準では小児の「風邪」の多くが当てはまってしまいます。この基準は成人・高齢者では適当ですが、小児では実際的ではありません。心配だからと帰国者・接触者相談センターへの電話の機会を増やし、回線が通じにくくなる可能性を高めます。
小児では、原因不明の発熱が続く、呼吸が苦しい、経口摂取ができない、ぐったりしているなどのつらい症状がみられる場合は、速やかに医療機関に電話で相談をして指示をもらいましょう。ただし小児であっても濃厚接触者や健康観察対象者である場合は、まず地域の帰国者・接触者相談センターにご相談ください。
A:こどもの感染者数は少ないのですが、感染のしやすさは成人と変わらないこともわかってきました。ただ今のところ家族内で感染している症例が多く、発熱と咳を認める一方で、鼻汁や鼻閉などの上気道症状は比較的少ないようです。
成人と同じように発熱と咳に続き肺炎になる例も報告されています。また一部の患者さんには嘔吐、腹痛、下痢などの胃腸症状も認められています。成人で報告されている臭いがわからない、味がわからないといった嗅覚・味覚の異常が認められるかどうか今のところは不明です。(訴えることがむずかいので気づけないのかもしれません)。血液検査に特徴的なものはありません。胸部レントゲン検査やCT検査を行うと肺炎像を認める患者さんもありますが、ほとんどの方が1−2週間で回復しています。
A:小児患者が重症化する割合は成人と比べるとかなり低いようです。
ただし今後市中感染が増えてきますと、残念ですが重症化する患者さんが増えてくる可能性があります。子ども達は軽症〜無症状が多いといわれますが油断は出来ません。やはり3密をさけて感染しないように気をつけて、行動を自粛していくことは大切だと思います。
A:まずはかかりつけの医師にご相談ください。基本的にはいつもの治療をしっかり続けていることが大切です。また家族や周囲の人が感染しないように気をつける事が重要です。
A:お母さんに感染症状(発熱、咳など)が見られる場合、接触や飛沫を介して赤ちゃんが感染するリスクがあるので直接授乳は避けて下さい。母乳自体の安全性に付いては現時点では明らかではありませんが、中国からの報告では母乳にウイルスは検出されなかったと報告されています。お母さんが解熱して状態が安定していれば、手洗いや器具などの衛生をしっかり行い搾乳して赤ちゃんに与えて下さい。
成人の場合解熱後3日までは感染力があると言われていますので、直接授乳は解熱後4日目を目安としてください。ただしこの日程は今後変更されるかもしれません。(日本新生児成育医学会2020年2月26日新型コロナウィルス感染症に対する出生後早期の新生児への対応についてより抜粋改変)
A:こども達への感染の多くは「同居している成人(保護者)感染者からうつる」ことによるものです。こども同士の感染は少なく体調をしっかり管理されていれば、保育士や先生からの感染も少ないと思われますので、保育所、幼稚園、学校などへの通園、通学を自主的に控える理由はありません。逆に保護者が医療従事者である理由だけで園や学校がこども達の登園、登校を控えさせたりなどあってはならないことです。
A:お住まいの地域での新型コロナウィルス感染症患者の発生状況によります。
みんなと一緒に過ごす時間はこども達の成長においてなくてはならないものです。現状ではこども達には感染者が少ないのですぐにでも再開させてあげたいと思うかもしれません。でも新型コロナウイルスはどこに潜んでいるかわからないのです。てごわいやつです。
大人もこどもも気づかないままに運んでしまうかもしれないのです(不顕性感染)。こども達が集まることでそれぞれの家庭に広げるかもしれないのです。
そして大切な家族の誰かが発症するかもしれしれないのです。だから集団を避けなくてはならないのです。休園、休校という対応しかとれないのです。
全国に警戒宣言が出されて、皆さん「おうちで過ごす」を実行してくださっています。数週間後にはその成果が見えてくるはずです。
このまま地域で患者発生のない場合はウイルスが潜んでいる可能性は低いと判断できれば慎重に集団生活を再開していきます。しかし地域で患者が発生したりすれば再度一定期間休園や休校になる可能性があります。今後の流行状況に応じて、臨機応変な対応が必要になりますのでお住まいの地方自治体の指示にしたがってください。
また厚労省から微熱やかぜの症状のある場合は、登園、登校を控えるようにと
指導されています。それらを守っていただくことが大事です。
A:遅らせないで下さい。
予防接種の目的は、感染症にかかる前に接種することでその病気にかからない(もしかかっても軽症ですむ)ことです。世界中がこれだけ新型コロナウィルスに苦しめられているのは、人類が初めて経験する感染症であり、ワクチンも治療薬もないからです。予防接種で予防できる病気は、こども達がかかると命を失ったり治療に時間がかかったり、なによりものすごい感染力のあるものばかりです。もし予防接種を止めたならば、世界中がコロナウィルスと戦っている間にも予防接種を受けなければ麻疹、風疹、百日咳、肺炎球菌やヒブなどが広がってしまいます。新型コロナウィルスではなく麻疹や髄膜炎で命を落とすかもしれないのです。
まずはかかりつけの医師に相談しましょう。感染対策をしっかりしてこども達をVPD(ワクチンで予防できる病気)から守ってあげて下さい。