こどもにみられる病気

熱が出るということ

熱が出るということ

まずは子どもの正常体温を知っていますか?(わきの下)

  • 乳児 36.3~37.4℃
  • 幼児 36.5~37.4℃
  • 学童 36.5~37.3℃

朝は低めで夕方は高めになります。運動をしたあとや食事のあとは高めです。乳児は厚着や暖房で高めになることがよくあります。高めにでたら薄着にして、しばらくしてからもう1度計ってみてください。

子どもの発熱の大部分はカゼ(ウィルス感染症)によるものです。
ウィルスは熱に弱いため、人間の体は高熱を発生することにより免疫力を高めウィルスと戦おうとします。体は病原体の感染を受けると、いろいろな反応や経過を経て血液中に体温中枢を刺激して発熱をさせるような物質を作り出します。

発熱をするときの体の反応

筋肉を小刻みにふるわせて熱を作り出します。汗腺を閉じて汗をかかないようにします。汗をかいてしまうと熱が下がってしまうからです。皮膚直下を流れている血管を収縮させ、血液を減らして皮膚温を下げるようにします。室温との温度差を少なくし熱の放散を減らします。赤みのあった顔色が蒼白になったり、手足が冷たくなったりするのはこの反応のためです。

解熱するときの体の反応

ふるえがとまります。皮膚直下を流れている血管を拡張させ血液量を増加させ皮膚の温度を高めます。室温との差が大きくなり熱が体外に逃げていきます。汗腺を開き発汗させ気化熱で熱を放散させます。
ふるえが止まり赤い顔になり汗をかくようになれば熱が下がる兆候といえます。

熱が出るということは、感染症と闘うための大切な生体防御反応といえますね。発熱があっても子どもが元気で水分もとれるのであれば、解熱剤を使って無理やり解熱させようとすることは必要ありません。


感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)

今回は特にウィルス性胃腸炎のお話

感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)

12月になりクリスマスやお正月と楽しいワクワクする季節になる頃、流行し始めるのが感染性胃腸炎胃腸炎です。特にウィルス性胃腸炎は「おなかの風邪」と言ってしまえばそれでおしまいですが、なんといっても感染力のあるウィルスですから集団的に発生していきます。「おなかのインフルエンザ」とも言えるかもしれません。原因ウィルスは、ノロウィルス、ロタウィルス、アデノウィルスが多いです。特に11月から1月にかけてはノロウィルスが流行し、少し遅れて12月から3月、4月はロタウイルスが流行します。
原因ウィルスはいくつもありますが、症状、対処法、感染を広げない工夫はすべて同じです。これから症状、お家での看護の仕方、感染を広げない工夫についてをお話ししましょう!

感染のしかた

感染者の吐物や糞便で汚染されたものが直接口に入ったり、手などにウィルスが付着しそれが口にに入ることで感染します。感染者の吐物が乾燥すると、ウィルスは空気中に舞いあがり、それを吸い込んで感染することもあります。またノロウィルスで汚染された食物や飲料水からの感染があり、老人施設や保育園などでウィルス性食中毒の集団発生の原因となっているのはニュースでもよく耳にしますよね。潜伏期(ウィルスが体の中に入り込み症状をだすまでの期間)は12~72時間です。

症状

突然吐き始め、続いて水のような下痢(レモン色、灰色、白っぽい緑色)になります。
熱が出ることもあります。発熱や嘔吐は1~2日で治まりほとんどが3日以内に回復しますが、下痢は1週間くらい続きます。ロタウイルスでは痙攣をおこすこともありす。
症状が治まっても10日程度ウンチの中にウィルスは排泄されるので注意が必要です。
家庭での水分補給と上手な食事療法が大切です。
薬も処方しますが、吐き続ける時や、嘔吐と下痢が同時にひどかったり、脱水が強い時は外来で点滴や入院が必要になります。

お家での看護

1.吐いたら飲むな

脱水になったら大変!子どもが喉が渇いたと泣くから!といって、吐いてすぐに飲ませてはまたすぐ吐いてしまい、逆に脱水になってしまいます。吐いたら30分から1時間は何も飲ませてはいけません。

2.まずは水分から

まずは水分から

吐き気が落ち着いていてきたら水分を少しずつ飲ませます。その時塩分の補給が大切です。下痢がひどいとき、水分をたくさん飲むから下痢になったと勘違いをされて水分を制限してしまう方がいらっしゃいますが違いますよ。
スプーンで少しずつ、5~10ml位をコップでちょっとずつ飲ませましょう。
途中で嘔吐したらまたふりだし①に戻ります。水分と塩分補給が大切です。
OS-1、アクアライトORS、ソリタT顆粒などがお勧めです。
おすまし、お味噌汁スープ(透明なタイプ)でもいいでしょう。

3.食事

食事

吐き気がおさまって、水分をとっても嘔吐しなくなったら食事を始めます。
母乳は吐き気が治まればそのまま続けます。ただし短めの授乳で何回もあげて。
ミルクはいつもの濃さであげましょう。やっぱり少し少なめで回数を増やします。
離乳食、食事の場合は脂っこいもの、繊維の多いものは避けてください。
便の中にそのまま不消化で出てくるもの(人参、納豆、ひじきなど)は避けます。
下痢で失われた栄養を補います。炭水化物(おかゆ、細かく切ったうどん)だけでなく、タンパク質(豆腐、白身魚、鳥肉など)、煮野菜 、バナナ、りんご、スープなどを含む食事をします。
下痢をしているからとおかゆとうどんだけではなかなか下痢は良くなりませんよ。(子育てのおなやみの項「下痢の時の食べ物」を参考に!)

4.感染を広げないための工夫

ウィルスをやっつけるためには、1)85℃で1分間以上の加熱2)次亜塩素酸ナトリウムによる消毒です。
床などに飛び散った嘔吐物や糞便を処理する時は使い捨てのマスクと手袋を使います。
汚物中のウィルスが飛び散らないようにペーパータオルなどでふきとり、ビニール袋に入れます。
拭き取ったあとは0.1%次亜塩素酸ナトリウムで床を拭き取ります。
お布団やソファーなどでしたらアイロンのスチームを当てるのでも良いでしょう。
汚れた衣服もすぐにビニール袋に入れて隔離します。ノロウィルスは乾燥すると簡単に空気中に舞いあがり、これが口に入って感染することもあるのでさっさと片づけましょう。
手洗いは大変重要です。ヒトからヒトに感染する場合、お世話をするヒトの手についたウィルスで広がる事が多いので気をつけたいものです。

0.1%次亜塩素酸ナトリウムの作り方

1リットルのペットボトル1本の水にペットボトルのキャップ4杯(20ml)

5.こんな時は早めの受診を

病院から戻ってからも吐き続ける時、元気が無くて顔色が悪い時、唇が乾いていてオシッコが少ない時。


ロタウイルス感染性胃腸炎

ロタウイルス感染性胃腸炎

急性感染性胃腸炎は、世界における小児の死亡者、罹患者の最も多い原因の一つです。
5才未満の小児死亡者は年間150万人にのぼるとう報告もあります。その中でもロタウイルスは、特に乳幼児の重症急性胃腸炎の主要な病原体です。ロタウィルス感染症により、世界では50万人もの5才未満の小児が死亡しています。その80%以上が発展途上国で起こっています。「なんだ!日本では心配ないんじゃないか」と思われたかもしれませんね。ところがロタウイルスはどんな環境中でも大変安定していて感染力が非常に強いため、たとえ衛生状態が改善されている先進国でもその感染予防は極めて難しいのです。事実上生後6ヶ月から2才をピークに5才までに世界中のほぼすべての乳児がロタウイルスに感染し、胃腸炎を発症すると言われています。
日本では幸いにもロタウイルスによる死亡者は稀です。それでも感染者数は非常に多いため小児感染症においては大変重要な病原体なのです。

症状と経過

毎年年末から流行が見られ春先(3月~4月)にピークを迎えます。1才、6ヶ月~1才、2才の順に患者数が多く、5才までにロタウイルス胃腸炎で入院するリスクは15~43人に1人と考えられ、その80%は2才以下との報告もあります。5才までにほとんどが感染し治療を受けなくてはならず、年齢が低ければ低いほど重症化して入院するかもしれないということです。
2~4日の潜伏期をおいて発症します。突然はき始め、続いて水のような下痢がはじまります。色はレモン色から灰白色で、あまり血便や粘血便とはなりません。熱が出ることが多く1/3の小児は39度以上の高熱となります。発熱や嘔吐は1-2日でおさまりますが下痢は1週間くらい続きます。便の中のウイルスが口に入って感染していきます。大人も感染します。

合併症

嘔吐、頻回の下痢、発熱、水分が取れないことによる脱水症です。脱水がひどい時は点滴や入院加療が必要となります。また重症脱水症から生じる腎不全、脳炎、脳症もみられます。

家庭での治療

吐き気の強いあいだは何も飲ませません。
吐き気が落ち着いてきたらソリタT2、T3顆粒、OS-1、アクアライトORSなどを少しずつ飲ませます。水分を1回に20~30ml飲んでも吐かなくなったら食事の事を考えます。

予防

ロタウィルスワクチン(生後6週から24週、32週までのみ接種可能)


RSウィルス感染症

例年は寒くなり始める11月頃より流行が始まり春先まで流行するRSウイルスによる乳幼児の代表的な呼吸器感染症です。毎年、冬季に流行し、乳児の半数以上が1歳までに、ほぼ100%が2歳までに感染します。1度感染してもなかなか免疫が出来にくいため繰り返し感染しながら免疫が出来上がります。2才を過ぎるとふつうのかぜで終わる事が多くなります。

症状と経過

症状と経過

感染後4~5日の潜伏期ののち、鼻汁、咳(せき)、発熱などの上気道症状が現れます。
初感染乳幼児の約7割は、鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに軽快しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難症状などが出現します。つまり3割程度の人は炎症が下気道まで波及して、気管支炎や細気管支炎(さいきかんしえん)を発症します。

しだいに咳がひどくなり、ゼイゼイと苦しそうな呼吸になっていきます。ゼイゼイ、ヒュウヒュウと音を立てて苦しい症状が続いてしまいます。ゼイゼイがおさまっても痰がからんだ咳や鼻汁はしばらく続きます。

通常は数日~1週間で軽快しますが、すべての患者さんの1~3%は重症化して入院治療が必要となります。低出生体重児や、心臓や肺に基礎疾患があったり、神経や筋肉の疾患があったり、免疫不全が存在する場合には重症化のリスクは高まります。

合併症

重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死に繋がる無呼吸発作を起こすことがあります。

大人の場合

大人の場合

成人では通常は感冒様症状のみですが、RSウイルスに感染した小児を看護する保護者や医療スタッフでは、一度に大量のウイルスに曝露して感染することによって、症状が重くなる場合があります。またRSウイルスは高齢者においても急性のしばしば重症の下気道炎を起こす原因となることが知られていて、特に長期療養施設内での集団発生が問題となる場合があります。

こんな時は小児科へ あまり遠慮しないで受診してください

①ゼイゼイ、ヒュウヒュウの音がひどく苦しそう
②胸やおなかをペコペコさせて呼吸をしている
③顔色が良くない
④母乳やミルクの飲みが悪い

家庭でできること

家庭でできること

呼吸が苦しそうな時は背中を優しくたたいて痰がでやすいようにしてあげましょう。また体を起こすような姿勢で寝かせてあげたり、抱っこしてあげてください。母乳やミルクは1回量を少なくして、何回にも分けて与えてあげましょう。部屋をあたたかくして乾燥しすぎないように工夫しましょう。状態の変化を見極める事が大切です。主治医の指示通りに何度も受診してください。

クリニック案内

医院名
西村医院
院長
渕上 佐智子
住所
〒411-0943
静岡県駿東郡長泉町下土狩6-1

診療科目
小児科
電話番号
055-971-6510
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